近年、気軽にお酒を楽しみながら人とのつながりを感じられる「スナック」の人気が再び高まっています。
大規模な投資が必要な居酒屋やバーに比べ、比較的少ない資金で始められる点から、独立を目指す方や第二のキャリアとして経営に挑戦する方も増えています。
しかし、「何から準備すればいいのか」「どのくらい資金が必要なのか」「許可や届出は?」など、いざ開業を考えると疑問や不安は尽きないでしょう。
そこで本記事では、スナック開業に必要な準備を7つのステップに分けて分かりやすく解説します。
資金調達から物件探し、内装工事、許可申請、備品準備、広告戦略まで、開業に向けて押さえておくべきポイントを網羅しました。
これからスナックを始めたい方にとって、実践的なロードマップとなる内容ですのでぜひ参考にしてみてください。
スナック開業のメリット

スナックを開業する際、多くの人が魅力を感じるのは利益率の高さや常連客の獲得のしやすさ、さらに比較的低いハードルで参入できる点です。
飲食店の中でもスナックは小規模経営が可能であり、工夫次第で安定した収益を見込めます。
ここでは具体的なメリットについて解説します。
客単価・利益率が高い
スナックは他の飲食業態と比べて客単価が高く、利益率も大きい点が強みです。
例えばビールやウイスキーなどの酒類は原価率が低く、仕入れ値に対して高い売値を設定できるため安定的な利益を生みやすい傾向があります。
さらに料理の提供は軽食が中心のため、飲食店のように食材コストが大きく膨らむ心配も少ないです。
また、カラオケ利用料やチャージ料を設定することで、飲食代以外の収益源も確保できます。
飲食業の中でもスナックは少人数で運営できる分、人件費が抑えられる点も利益率向上に寄与しています。
このように収益性の高さはスナック経営の最大のメリットといえるでしょう。
常連客を増やしやすい
スナックは常連客を増やしやすい点も大きなメリットだと言えます。
スナックは地域密着型でママやスタッフとお客様の距離が近く、アットホームな雰囲気を楽しめる場所として人気です。
人間関係を重視する文化が根付いているため、一度気に入ってもらえれば繰り返し来店してもらえる確率が高いでしょう。
常連客はお店の売上を安定させる重要な存在であるため、新規集客に頼りすぎない経営が可能になります。
さらに、常連客が友人や同僚を連れてくる「口コミ集客」も期待でき、宣伝広告費を抑えて自然に集客力を高められるのも魅力です。
長く愛されるお店に成長させるためには、お客様との信頼関係を築き、心地よい居場所を提供することが不可欠です。
開業のハードルが低い
スナックは他の飲食業態に比べ、開業に必要な初期投資が少ないのも特徴です。
高額な厨房設備や広い調理スペースは不要で、最低限の内装とカウンター、カラオケ設備さえあれば営業が可能です。
また居抜き物件を活用すれば内装や設備を再利用できるため、大幅なコスト削減が実現します。
さらに、少人数での運営ができることから人件費も抑えられるため、個人経営者でも参入しやすい業態といえるでしょう。
飲食業を始めたいが資金面で不安がある方にとって、スナックは比較的挑戦しやすいビジネスモデルです。
スナック開業のデメリット

スナックには魅力的なメリットが多い一方で、開業に際しては注意すべきデメリットも存在します。
特に競合の多さや人材確保の難しさは、経営を継続する上での大きな課題となり得ます。
競合店が多い
スナックは全国的に店舗数が多く、都市部だけでなく地方都市や郊外にも密集して存在しています。
そのため新規開業した場合、周辺にすでに根付いているスナックと顧客を取り合うことになるケースが少なくありません。
特に既存の常連客が強固なコミュニティを形成している場合、新規店が入り込むのは容易ではないでしょう。
差別化を図るためには、独自のコンセプトや接客スタイルの確立が求められます。
例えば「カラオケに特化」「女性スタッフ中心」「昭和レトロな雰囲気」など、特色を明確に打ち出すことで、競合に埋もれない店舗づくりが実現できます。
人材の確保が難しい
スナック経営では、接客を担うスタッフの存在が売上に直結します。
しかし、夜間勤務や接客スキルを求められる仕事であるため、安定的に人材を確保するのは容易ではありません。
さらに、スタッフの入れ替わりが激しいと常連客が離れてしまうリスクもあります。
採用活動に力を入れるだけでなく、働きやすい環境を整備し、長く勤務してもらえる体制を築くのが大切です。
具体的には、シフトの柔軟性や給与体系の明確化、働く意義を感じられる人間関係づくりが欠かせません。
人材難を克服するのが、スナック経営を安定させる鍵となるでしょう。

スナック開業に必要な準備

スナック経営を成功させるには、事業計画の立案から資金準備、物件探し、内装工事、必要な許可の取得まで、計画的な準備が欠かせません。
準備を怠ると後の経営に大きな支障をきたすため、一つひとつ丁寧な進行が重要です。
①事業計画を立てる
スナック経営の土台となるのが事業計画です。
どのようなコンセプトでお店を運営し、どのように利益を上げていくのかを明確にすると、開業後の経営方針がぶれにくくなります。
コンセプトの設定
スナックを開業する際、最初に考えるべきはお店のコンセプトです。
どのようなお客様をターゲットにするのか、どのような雰囲気を提供するのかを明確にすることで、店舗の方向性が定まります。
例えば「女性一人でも安心して来店できる落ち着いたスナック」「昭和歌謡を楽しめる懐かしい雰囲気の店」「会社帰りのビジネスマン向けにリーズナブルな料金設定」など、コンセプトを具体的に設定すると差別化につながります。
さらに、内装デザインやメニュー構成、スタッフの接客スタイルもコンセプトに合わせて決定すると、一貫性のあるブランドイメージを構築できるでしょう。
事業計画書の作成
コンセプトを定めたら、事業計画書を作成しましょう。
事業計画書は資金調達の際に金融機関や投資家に提出する重要な資料であり、店舗の将来性を示す根拠となります。
計画書には、ターゲット市場の分析、競合調査、売上・利益の予測、資金繰りの計画を盛り込む必要があります。
特に日本政策金融公庫の融資を利用する場合、詳細な事業計画が求められるため、数字に基づいた具体性のある計画が重要です。
しっかりと作り込んだ事業計画は、開業後の経営判断の指針にもなり、軌道修正が必要な際の道しるべにもなります。
②資金の準備
スナック開業には一定の資金が必要です。
初期費用の内訳を理解し、適切な調達方法を選択することで、無理のない経営をスタートできます。
開業に必要な初期費用の内訳
スナック開業の費用は規模や立地によって変動しますが、一般的には数百万円程度が目安です。
主な費用には、物件取得費用(保証金や敷金礼金)、内装工事や設備関連費、カウンターや椅子などの家具費用などが含まれます。
また、営業許可取得費用や消防関連の手続き費用や、開業後すぐに利益が出るわけではないため運転資金を十分に用意しておく必要もあります。
酒類や食品の仕入れ費用、広告宣伝費も初期投資として計算に入れておくことで、資金ショートを防げるでしょう。
資金の調達方法
資金調達の手段としては、自己資金を利用するほか、日本政策金融公庫の融資を活用するのが一般的です。
公庫では飲食業向けに低利率の融資制度が整備されており、開業者にとって心強い支援となります。
さらに、自治体によっては創業補助金や助成金が利用できる場合もあります。
これらを組み合わせることで、自己資金の負担を軽減しつつ必要な額を確保できるでしょう。
資金調達を成功させるには先述の事業計画書が鍵となるため、説得力のある資料の準備が不可欠です。
③物件探し
スナックを成功に導くためには、物件選びが極めて重要です。
立地や条件次第で集客力や経営の安定度が大きく変わります。
焦って契約するのではなく、余裕を持って比較検討する姿勢が欠かせません。
物件選びの条件を設定する
物件探しを始める前に、まずは自分が理想とする店舗の条件を明確にしておく必要があります。
例えば、駅からのアクセスが良い場所を重視するのか、賃料をできるだけ抑えるのかによって、選ぶべき物件は大きく異なります。
初期費用を抑えたい場合には、居抜き物件を選ぶのが効果的です。
前のテナントが使用していた内装やカウンター、厨房機器をそのまま活用できるため、開業コストを大幅に削減できます。
また、厨房機器や家具についても新品にこだわらず、中古やレンタルを活用すれば資金を効率的に使えます。
賃料が安い物件を選べば固定費を下げられ、毎月の運転資金に余裕が生まれる点も見逃せません。
どの条件を優先するかを明確にして探すことで、開業後のリスクを軽減できるでしょう。
物件契約時のポイント・注意点
物件を契約する際には、いくつかの注意点があります。
まず、深夜営業や風俗営業の許可が取得可能な立地であるかを必ず確認しましょう。
地域によっては深夜営業が制限されている場合があり、せっかく物件を借りても営業できないリスクがあります。
また、消防法や建築基準法に適合しているかも確認が必要です。
特に避難経路や防火設備に関しては、消防署の指導を受けるケースが多いため、事前に確認しておくと安心です。
なお、物件探しは時間をかけて慎重に行いましょう。
短期間で焦って契約すると、条件の悪い物件を選んでしまう可能性があります。
最低でも数カ月の余裕を持ち、複数の候補を比較検討することが、長期的な経営の安定につながるでしょう。
④内装・設備の準備
物件が決まったら、次に取り掛かるのが内装工事と設備の導入です。
スナックの雰囲気は顧客満足度に直結するため、慎重に進める必要があります。
最低限必要な設備
スナックに必要な設備は、業態の性質上シンプルです。
必須となるのはカウンター席と椅子、グラスや氷を用意するための製氷機、簡単な調理ができるキッチン設備です。
加えて、カラオケ機器は多くのスナックで欠かせない要素となっています。
音響設備やマイクを揃えておけば、顧客の滞在時間が延び、追加注文の機会も増えるでしょう。
最低限の設備に絞ることで、初期投資を抑えつつ営業をスタートできます。
雰囲気づくりの工夫
スナックの魅力は、居心地の良い空間を提供できるかどうかにあります。
内装を豪華にする必要はありませんが、照明や壁紙の色合い、家具の配置によって大きく印象が変わります。
温かみのある照明を使うことでリラックスできる雰囲気を演出でき、落ち着いた音楽を流せば滞在時間を延ばす効果が期待できるでしょう。
また、カウンター越しに会話がしやすいレイアウトを意識すると、ママやスタッフとお客様の距離が近くなり、リピーターの獲得につながります。
お客様に「また来たい」と思わせる空間づくりが重要です。
業者選定とスケジュール管理
内装工事を依頼する業者は慎重に選ぶ必要があります。
複数社から見積もりを取り、費用だけでなく施工実績や対応の丁寧さを確認するのがポイントです。
また、開業スケジュールを逆算し、余裕を持った工事計画を立てることも大切です。
工事が遅れると開業予定日に間に合わず、家賃や融資の返済だけが先に発生するリスクがあります。
スムーズに進めるためには、業者との密なコミュニケーションが欠かせません。
⑤開業に必要な許可・届出
スナックを営業するためには、さまざまな許可や届出が必要です。
必要な許可の取得を怠ると営業停止のリスクがあるため、事前にしっかり確認して準備を進めましょう。
飲食店営業許可
飲食物を提供するためには、最寄りの保健所に申請をして飲食店営業許可を取得する必要があります。
申請書類を記入し提出したのちに施設検査が入り、営業許可証が交付されて初めて営業が開始できます。
余裕を持って準備と申請を行いましょう。
施設検査では厨房の衛生管理、シンクの数、換気設備など、基準を満たしているかがチェックされます。
また、申請前に食品衛生責任者の資格を保持している代表者を選任する必要がありますので注意しましょう。
深夜酒類提供飲食店営業の届出
午前0時以降にアルコールを提供する場合は、警察署への「深夜酒類提供飲食店営業の届出」が必要です。
上記の許可を怠ると無許可営業となり、罰則の対象となります。
スナックでお酒が提供できないとせっかく来店してくれた顧客の損失にもつながるため、許可は営業までに必ず取得していないとなりません。
提出後、受理されるまでに一定期間を要するため、開業日を逆算して余裕を持って申請しましょう。
消防関係の届出
スナックでは消防法に則り、避難経路の確保や消火器の設置など、安全面での基準を満たさなければなりません。
基準を満たしているかの証明のために、最寄りの消防署に以下の届出を行う必要があります。
- 防火対象物使用開始届
- 防火管理者選任届
- 火を使用する設備等の設置届
- 消防計画の届出
なお、届出のみではなく消防署の消防検査を受ける必要があります。
立入検査の結果、消防法違反の箇所があれば「立入検査結果通知書」が届き、改善を指示されるため注意しましょう。
税務・労務関連の届出
開業後は税務署への開業届や青色申告承認申請書など、税務・労務関連の届出が求められます。
開業届は、開業から1ヶ月以内に提出が必要ですので注意しましょう。
また、開業届と同時に青色申告承認申請書を提出すると確定申告の際に青色申告ができるようになります。
さらに、従業員を雇用する場合には社会保険や労働保険の手続きも必要です。
税務や労務の手続きは専門的で複雑になりやすいため、税理士や社会保険労務士のサポートを受けるのも一つの方法です。

⑥備品準備・仕入れ
許可が整ったら、開業に必要な備品を揃え、仕入れルートを確保し、広告準備を進めましょう。
開業に必要な備品一覧
スナックで必要な備品は多岐にわたります。
グラス、食器類、調理器具、カトラリー、氷入れなどの基本的なものに加え、カラオケ用のリモコンやマイクも必須です。
さらに、掃除道具や消耗品も揃えておく必要があります。
開業直後に不足がないよう、リストを作成して順次確認を行いましょう。
酒類・食品の仕入れルート
酒類の仕入れは大手酒販店や卸売業者を利用するのが一般的です。
定期的に仕入れが必要なため、信頼できる業者を選びましょう。
また、食品については近隣のスーパーや業務用食材店を利用するケースが多いですが、コストを抑えるためには複数の仕入れ先を比較検討するのが効果的です。
仕入れ先との信頼関係を築くことで、安定した供給と価格交渉の余地が生まれます。

⑦広告準備
店舗をオープンしても、存在を知ってもらえなければお客様は来店しません。
開業前から広告戦略を練り、効果的な発信が必要です。
求人広告
スタッフを採用するためには求人広告が欠かせません。
知り合いや身近な人、近親者で店舗運営をするスナックも少なくありませんが、特に人材の目星が付いていないようであれば求人サイトに広告掲載を行いましょう。
求職者は安心して応募できる媒体を重視する傾向にあるため、信頼性の高いプラットフォームを選ぶことで人材確保につながります。
『ナイトワーク経営ナビ』では、スナックの求人広告掲載先の紹介を行っておりますので、ぜひ下記ボタンからお問い合わせください。
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ユーザーはスナックを探す際にネット検索をしてGoogleマップやまとめサイト、各種情報サイトなどの情報を参考にするケースがほとんどです。
そのため集客のためには、Googleビジネスプロフィールへの登録はもちろん、スナック専門の広告媒体や地域密着型のサイトを活用するのが有効です。
またオンライン上の広告だけでなく、チラシやポスティング、SNS発信も組み合わせることで、多方面からの認知度向上が期待できます。
『ナイトワーク経営ナビ』では、集客広告掲載先の紹介も行っておりますので、ぜひ下記ボタンからお問い合わせください。
なお、スナックの広告掲載ができる媒体に関しては以下の記事で詳しく解説しております。
ぜひ合わせてご確認ください。

まとめ:注意点を押さえスナックの開業をスムーズに進めよう
スナック開業は、他の飲食業態に比べて初期投資を抑えやすく、常連客を獲得しやすいという大きなメリットがあります。
一方で、競合の多さや人材確保の難しさといった課題も存在するため、事業計画の段階から明確なコンセプトと戦略を持つことが成功の鍵です。
本稿で解説したように、資金調達や物件探し、内装準備、必要な許可・届出、備品や仕入れ、広告戦略まで、すべてを計画的に進めるのが重要です。
スナックは人と人とのつながりを大切にする業態だからこそ、顧客に寄り添い、安心して楽しめる場を提供する姿勢が長期的な繁盛につながります。
開業に向けて一歩踏み出す方は、本稿を参考に、着実に準備を進めてください。