風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)というと、キャバクラやホストクラブのための法律というイメージが強いかもしれません。
しかし実際には、ガールズバーやコンカフェ、さらにはスナックといった業態にも関わる重要な法律です。
今回は、実際にガールズバーやスナックが摘発された事例をご紹介しつつ、注意すべきポイントを簡単にまとめます。
そもそも風営法とは?
「風営法(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)」は、キャバクラやガールズバー、スナックなど、一定の業種に対して営業のルールを定めている法律です。
もともとは「青少年の健全育成」や「風紀の維持」を目的に昭和の時代に制定されたもので、現在も営業時間や営業区域、従業員の管理方法など、さまざまな規制が設けられています。
風営法の対象となる業種には、以下のようなものがあります。
- キャバクラ、ホストクラブなどの「接待行為を伴う飲食店」
- ダンスを提供するクラブやディスコ
- パチンコ店、ゲームセンターなどの遊技施設 など
ナイトワーク業種においては、「接待行為があるかどうか」が重要なポイントであり、営業形態によっては「風俗営業1号営業」に該当し、営業許可を取得する必要があります。
風営法に違反した場合、行政処分や営業停止、最悪の場合は摘発・逮捕につながることもあります。
法律の理解と遵守は、健全な店舗運営に欠かせない要素です。
実際の摘発事例
ここからは、ガールズバーやスナックで実際に起きた摘発事例をご紹介します。
ガールズバーの摘発事例
東京・渋谷など7地区のガールズバー一斉摘発、無許可接待疑い 改正風営法施行で厳罰化
無許可で接待営業を行ったとして、警視庁保安課などは風営法違反の疑いで、東京・渋谷のガールズバー「ダイスバー」経営、西山大介容疑者(32)=東京都世田谷区池尻=ら7地区・7店舗のガールズバー経営者ら12人を逮捕した。西山容疑者は「売り上げが上がればいいと思い無許可で接待していた」と容疑を認めている。
引用:Yahooニュース 2025/6/30
こちらは、改正風営法初のガールズバーの摘発事例になります。
東京都内で営業していたこちらのガールズバーでは、カウンター越しの営業スタイルであっても、女性スタッフが男性客に酒類を提供してカウンター越しに談笑する「接待行為」が確認されたため、風俗営業の許可を得ていなかったことから摘発されました。
ガールズバーは「バー営業(飲食店営業)」として届け出ているケースが多いですが、こちらの事例のように、実際の接客内容が「接待」と見なされると、風営法違反となるリスクがあります。
スナックの摘発事例
無許可で接待営業をしていたとして東京・荒川区のスナックを摘発 経営者の女(63)逮捕
風営法違反の疑いで摘発されたのは、荒川区町屋のスナック「花」で、経営者の鈴木由美子容疑者(63)は風俗営業の許可を得ずに、複数の女性従業員に客の横に座らせて接待営業をさせたとして、きのう、現行犯逮捕されました。取り調べに対し鈴木容疑者は、「こういう接待をしてはいけないと分かっていたが、客からの要望や売り上げを上げるために接待させていました」などと容疑を認めているということです。
引用:Yahooニュース 2025/7/4
東京都内で営業していたこちらのスナックでは、複数の女性従業員が客の横に座り会話をしたりお酒を作ったりする「接待行為」が確認されたため摘発されました。
スナックのような業態は「深夜酒類提供飲食店」として届け出ているケースが多く、本来「接待行為」は禁止されています。仮に接待行為を行いたい場合は、「風俗営業1号営業」としての許可を取得する必要があります。
今回の摘発のように、「軽いつもり」での応対が接待とみなされ、風営法違反となるケースは後を絶ちません。接客の内容が接待に該当しないか、日々の営業の中で常に意識することが重要です。
風営法違反で摘発されたらどうなる?
風営法に違反して営業していた場合、警察による摘発を受ける可能性があります。摘発されると、まず営業所への立ち入り調査が行われ、違反の事実が認定されると、行政処分や刑事罰の対象となります。
重大な違反として多いのが、「無許可営業」や「接待行為の隠蔽」「深夜営業の規制違反」などです。これらに該当した場合、以下のような処罰が科されることがあります。
※2025年6月28日より改正風営法が施行
区分 | 従来の罰則 | 改正後の罰則 |
---|---|---|
個人 | ・2年以下の拘禁刑 ・200万円以下の罰金 | ・5年以下の拘禁刑 ・1,000万円以下の罰金 |
法人 (両罰規定) | ・200万円以下の罰金 | ・3億円以下の罰金 |
また、摘発が報道された場合、店舗の信用失墜やスタッフへの影響も避けられません。
風営法は知らなかったでは済まされない厳格な法律です。必ず営業形態に合った許可・届出を行い、法令を守った運営を心がけましょう。
まとめ
ご紹介したように、ガールズバーやコンカフェ、スナックといった店舗でも、風営法の対象になる可能性は十分にあります。
どの業種でも「接待行為」や「営業時間」には要注意。ガールズバーやコンカフェ、スナックも「キャバクラとは違うから大丈夫」と思わず、風営法の基本的なルールを再確認しておくことが重要です。
摘発されてからでは手遅れになる可能性もあるため、法令の理解と遵守は経営上の大前提です。
「接待行為に該当しないか?」「営業時間は守られているか?」など、日頃の営業スタイルを見直し、必要に応じて行政書士などの専門家に相談することも検討しましょう。